転生先はポケモン 1話

NO IMAGE

転生しちゃいましタツベイ

今日はポケモンウルトラサンムーンの発売日。
早速買いに行こうと、家を飛び出した……はずなんだが。
「この真っ白い空間なんなんだ?」
周りを見ても何もない。壁も床も天井も、白で統一された密室。
ただポツンと真ん中に立たされている自分以外誰もいない。
「ふむ、白昼夢か」
この現実味のない事実に考える事を放棄し、そう結論を出す。

「いや、違うよ」
この夢から覚めようと意識を集中した時、何処からか声が響いた。
「これは白昼夢でもなんでもない、君は死んだから此処に居る。そしてこんにちは、私は神です」

……こんなふざけた夢を見るなんて、どうやら自分は疲れているらしい。まぁ最近は新作に向けて寝る間も惜しみ、アルファサファイアで厳選作業をしていたからな、無理もない。
「だから違うって、ほら落ち着いて君が家を出た時にの事を思い出してごらん」
「そう言われても思い出せない、気づいたらいつの間にか此処に……」
響く声にそう伝えると、目の前に鏡の様なモノが現れた。
「仕方ないな……まぁ、あの死に方だと覚えていないのも無理ないか」
目の前のモノに映像が流れる……これは家を出た直後の自分だ。

「家を出た君は、上から降って来る野球ボールに気づかずそのまま……」
映像の中の自分は後頭部にボールがぶつかり、倒れていく……え?

「それだけ?」
「うん、それだけ」

「え、いやこういうのは普通誰かに殺されたーとか、車に轢かれそうな子供を助けてとか、そういうもんじゃないの?」
なんかしょうーもない理由で死んで納得いかん。
「うーん、でも君の前に来た子は階段から足を滑らせてとか、その前に来た子はお餅を喉に詰まらせてとかだし、そういうの結構多いよ?」
……それらに比べたらマシ、なのか? いや……でもなぁ。

「んで、死んだ俺はなんで此処にいるの? いや納得してる訳じゃなく単なる疑問で」
なんとか生き返らせてもらえないかな、サンムーンやってないからウルトラサンムーン凄く楽しみだったのに……。
「善行を積んだ人間にはご褒美ポイントが与えられるんです。そのポイントが溜まってるほど様々な特典が選べる……という訳でどうする? あ、はいこれメニュー表」

輪廻転生とかそういうシステムだったのか……。
受け取った紙を見ると、来世の容姿や身体スペックなど書いてある。
「俺はどれくらいポイントがあるんだ?」
ざっと流し見たところ、ほぼ数千ポイントを使うのばかりだ。性別を指定するだけで千ポイント……高いのかどうかわからん。

「君はーえっと、十万あるみたいだね。すごいなぁ、中々見ないよこんな多いの」
どうやら結構なポイントがあるらしい。だが、自分はそんなに善行をした覚えはないんだが。
「普通はどれくらいなんだ?」
「平均で五千前後かな」
少なっ! 性別も選べないじゃないか。それで何が出来るか、手元の紙を見ると……人間に生まれる=五千ポイントと書かれていた。
「ポイントが少ない奴はどうしようもないじゃないかっ!?」
「君の前の子はトカゲになったよ、その前はカマキリ」
「強制的に人外転生とか……」
善行積んでて良かった。
「それで? 特典はどうするの?」
人間に生まれる事が出来る事に安堵しながら、自分のポイントで出来る事を探していると、この理不尽な死を帳消しに出来るモノを見つけた。
「これは、異世界転生」
転生先の指定に五万、その世界に合った特典に三万、前世の記憶、その他諸々で合計十万。
これで決まりだ。
「ポケモンの世界に転生、特典は持っているゲームソフトの手持ちポケモン」
「わかったよ、君は稀に見る善い行いをした人間だ。次の世界では幸せな人生を送れるように祈りを捧げよう」
新作ポケモンが出来なくなったのは少しの心残りだが、これからは現実にポケモンが居る世界で過ごせる。ボールで死んだ事実なんてどうでもいいくらい楽しみだ。

そして目の前が真っ暗になった。