転生先はポケモン 35話

転生先はポケモン 35話


 突然現れた漆黒のウルトラビースト。
 ルナアーラと争っている姿を眺めていると、バーネット博士が持っている電子機器から情報が判明する。

「どうやら、アローラ地方のウルトラオーラを吸い取っていたのは、あのウルトラビーストみたいね。今も吸い続けているわ」

 戦いの中、ルナアーラが劣勢に持ち込まれていた。
「原因があの黒いウルトラビーストなら、ルナアーラと一緒に戦ってちょうだい。ウルトラガーディアンズ、出動よ」
『ウルトラジャーッ!』

 ライドポケモンのボーマンダに乗り、皆と一緒に戦場へと飛んでいく。
 だが、二体のバトルは激しくて近づけないッ。

「仕方ない、ここから支援しよう。ボーマンダ、流星群!」
「ガブリアス、りゅうのはどう!」
「オンバーン、ばくおんぱッ」
 俺とサトシとグラジオの連携で、ウルトラビーストに攻撃を放つ。
「なにッ、避けられた!? 何処に逃げ――皆、後ろだッ」
 警告が間に合わず、俺達はウルトラビーストの攻撃を受けてしまった・・・・・・。

「ぐッ、皆大丈夫か?」
「あぁ平気――!? リーリエッ!」
 グラジオの視線の先には、ライドポケモンのチルタリスから落下している姿があった。
 俺もグラジオも、すぐに駆けつけようとするが・・・・・・間に合わ――。

「キャーッ――え? ・・・・・・ルナアーラ?」
 悲鳴を上げて落下していたリーリエを、ルナアーラが受け止めてくれた。
「ルナアーラ、ありがとう・・・・・・」
 ルナアーラを一撫でしたリーリエは、無事にチルタリスへと飛び移る。
「ありがとう、ルナアーラ!」
 うん? ルナアーラの俺を見る目・・・・・・何処かで見たような。

「――!? また襲ってくるぞッ」
 突進してきたウルトラビーストを避けて、スイレンを見る。
「動きを止めてくれ!」
「わかった。ハクリュー、冷凍ビームッ」
 運良く凍らせる事が出来たが・・・・・・すぐに動きだしてしまった。
「あれ? ユウキ、あのウルトラビーストの後ろ姿、遺跡で見たマークに似てない?」
「なんだって?」
 サトシが指さした所を見ると、確かに遺跡に・・・・・・ベベノムが描いたマークに似ていた。

「かがやき様と何か関係あるのか?」
 考えていると、ルナアーラがウルトラビーストに掴まれてしまった。
「なんだ!? ルナアーラから何か吸い取っているぞッ」
『ウルトラオーラロト! ピピッ、それだけじゃなくて――ルナアーラごと取り込むつもりロトーッ!』
 取り込む・・・・・・前のルザミーネさんみたいな事か。

「させないッ、ばくおんぱ!」
「待てッ、下手に攻撃するとルナアーラがッ」
 グラジオも俺と同じ事を思い出したのか、突撃する。
「クソッ、また避けられたッ」
「グラジオ危ないッ」
 ウルトラビーストのターゲットになったのか、攻撃がグラジオへと迫る。

「ユウキ!?」
 攻撃して止めると余波で危ない。だから、グラジオの前へと咄嗟に飛び出る。
 紫色の鋭利なエネルギーが迫り、思わず目を閉じ――。
「あれ? 攻撃が――ルナアーラ!」
 離れた所にいた筈のルナアーラが、俺の前に居た。
 恐らく、先程の戦いで使っていた『ゴーストダイブ』だろう。
 攻撃が当たる瞬間、ルナアーラは俺へと振り返った。
 その目は、やっぱり既視感があった。
 瞬間――攻撃が当たり、ルナアーラは飛ばされていく。

「ルナアーラッ!」
 飛ばされたルナアーラは、再びウルトラビーストに掴まれた。
 そして、ウルトラビーストの体はバラバラになっていき、鎧のようにルナアーラへと取り憑いていく。
「取り込まれてしまったのか・・・・・・? どうすれば――なんだ!?」

 ウルトラビーストと合体したルナアーラは、雄叫びを上げて俺達を威嚇する。
 どうやってルナアーラを解放するか思考していると、突如空から電磁ネットが降ってきた。
 くそッ、次から次へと何なんだ!

 電磁ネットはルナアーラを捕まえ、引き上げられていく。
 その先には、さっきまで無かった飛行船が見えた。
「ルナアーラが連れていかれる! いくぞガブリアスッ」
「サトシ待て!」

 その時、捕らわれてたルナアーラは自力でネットを破った。
 だが、破られたネットは助けに向かったサトシへと落ちていく。

「ガブリアスッ、避け――」
 強磁場が発生しているネットから、サトシを守ろうとするが、視線の端にウルトラホールが開くのが見えた。
「あれは――」
「ソルガレオ!」
 サトシを守ったのは、駆けつけたソルガレオだった。

「ソルガレオーッ、会いたかったぞぉ!」
 電磁ネットを破壊したソルガレオに、サトシは近づいて頬を擦り寄せた。
「今まで何処に行ってたんだ――おっとっと」
 ソルガレオとサトシに、ルナアーラの攻撃が飛ばされた。

「ルナアーラを助けるのに協力してくれ、ソルガレオ」
 サトシの言葉に、ソルガレオは舌で舐める事で了承を示す。

 ルナアーラとソルガレオが対面し、同時に攻撃を放った。
 お互いの技は相殺されたが、ソルガレオがすかさず『メテオドライブ』で突進していく。
 まともに受けたのか、ルナアーラから黒いウルトラビーストが剥がれていった。

「やったぜソルガレオ!」
「あぁ。だが、ルナアーラが・・・・・・」
 ルナアーラは撃墜され、下の浜辺に衝突した。
「黒いウルトラビーストは何処に行ったんでしょうか?」
「バラバラになって海に落ちた」
「とりあえず、落とされたルナアーラの様子を見に行こう」
 
 先に行ったソルガレオを追って、俺達も向かう。
「あれ、飛行船がまた出てきたよ」
 マオの言葉に振り返ると、消えた筈の飛行船が姿を現した。
「――って、また電磁ネット飛ばした!」
 飛んでいったネットはソルガレオとルナアーラを纏めて捕まえた。
「しつこい奴らだなッ。ボーマンダ、流星群!」
 ネットを狙うとソルガレオ達に被弾する恐れがあるので、飛行船そのものを狙う。

 命中した飛行船は激しく揺れて、電磁ネットを落とした。
 もう一度当てようとするが、飛行船が徐々に消えていく。光学迷彩か?
「また出てくるだろう。油断は出来ない――」
「黒いウルトラビーストです!」
 海から飛沫が上がり、バラバラになった筈のウルトラビーストがソルガレオへと迫った。

「まさか、今度はソルガレオをッ」
 予想通り、ソルガレオを黒い鎧で包んだ。
 そして、ウルトラホールを出現させて、この場から去って行く。
「ソルガレオを返せーッ!」
 サトシが追うが、間に合わずウルトラホールが閉じてしまった。
「ソルガレオ・・・・・・」
「・・・・・・サトシ、今はルナアーラを」
「あぁ・・・・・・」
 ソルガレオはきっと無事だろう。
 そう信じて、ルナアーラの元へ降りていく。
***

「ルナアーラは?」
「あっ、お母様。回復の薬を与えているのですが、ぐったりしたままで・・・・・・」
 ルナアーラの介抱をしていると、身嗜みをキチンとしているルザミーネさん達がヘリコプターでやってきた。
「そう。緊急搬送が必要ね」
「一番近いのは、ポケモンスクールの地下施設よ」
 バーネット博士の指示で、ルナアーラはヘリコプターで丁重に運ばれていく。
***

 ポケモンスクールの地下に運ばれたルナアーラは、精密機械に繋がれて治療されていた。
 静寂な部屋の中、機械の音だけがなる空間で、俺達は固唾を呑んでルナアーラを見守る。

「・・・・・・母さん、あの黒いウルトラビーストは一体なんだ?」
「分からない。とりあえず私達は『UB:BLACK』と名付けたわ」
 UB:BLACK。伝説のポケモンを取り込む、黒いウルトラビースト。何故ソルガレオとルナアーラを取り込んだんだ?
 その時、新たに人が部屋に入ってきた。

「よぉ、みんな。怪我は無いか?」
「ククイ博士!」
 あれ? 半裸の白衣に戻ってる。
「ククイ博士、元に戻ったの?」
「あぁ。どんより曇っていた心が、日本晴れのように晴れやかだぜ!」
「そういえば、お母様達も」
「皮肉な話、UB:BLACKがソルガレオのウルトラオーラを吸収しているおかげで大丈夫になったみたいなの」
 会話をしていると、治療が終わったのかバーネット博士が歩いて来る。
「ルナアーラは?」
 俺の切羽詰まった顔を見て、安心させようとしたのか、ニッコリと笑って言った。
「大丈夫。あとは体力の回復を待つだけよ」
 それを聞いて、俺達は安堵の息を漏らした。
「ルザミーネさん。遺跡にあった壁画にUB:BLACKと似ているマークがありましたよね」
「そうね。きっとかがやき様と深い関係があるんでしょうね」
 だけど、疑問がある。
「実は、その壁画と同じ絵をベベノムが描いた事があるんです」
「なんですって?」
 皆の視線は俺の肩に乗っているベベノムに集まった。
 ベベノムはコクリと頷くと、俺達の前へ浮いて、
『べべッ、べーべッ。べべべべ!』
 説明しているんだろうが、何言ってるのか分からん・・・・・・。
 体全体を使って何か言ってるベベノムを眺めていると、ザオボーがやってきた。

「あの怪しい飛行船のデータが照合出来ました。正体は、カントーを中心に活動している『ロケット団』その精鋭部隊である『マトリ・マトリックス』です」
 マトリ・マトリックス? いつもの三人組じゃないのか。
「そう。では、UB:BLACKなども含めて対策を考えましょう」
 そう言って、ルザミーネさん達は部屋を出て行った。

「ユウキ? 難しい顔して、どうしたんですか?」
「ん、いや。ちょっと気になる事がな」
 ルナアーラが元気になったら確かめたい事がある。
 だから、確かめる為の『モノ』をポケットに入れておこう。

「ルナアーラ、早く元気にならないかなぁ。それにソルガレオ、大丈夫かなぁ」
 ふと、サトシが不安な表情で呟いた。
 呟きを聞いたグラジオが、サトシに顔を向ける。
「ソルガレオは、前に母さんを助けてくれた。ルナアーラもリーリエを助けてくれた。だから、今度は俺が助ける」
「俺達、な。グラジオ」
「・・・・・・そうだな」
 俺とグラジオの会話で元気が出たのか、サトシは腕を振り上げた。
「あぁッ、絶対助ける! 俺達の全力で!」
『おーッ!』
 俺達も腕を突き上げて、気合を入れる。
 すると、Zリングが淡く光った。

「なんだ!?」
 俺だけじゃなくて、リングを付けている全員のも光っていた。
「ルナアーラの元に光が・・・・・・」
 太陽のような淡いオレンジの光がルナアーラへ降り注ぐ。
 そして、眠っていたルナアーラが目を覚ました。
「起き上がりました!」
 ルナアーラは元気になったのか、翼を大きく広げて鳴き声を上げた。
 その声は、治療室のガラスを激しく揺さぶり――。
「やばッ、皆さがれ!」
 瞬間、ガラスをぶち破った。あっぶなッ!
「・・・・・・ルナアーラ?」
 治療室から出てきたルナアーラは俺の前へと飛んできて、何かをねだるように顔を寄せた。
「これか・・・・・・?」
 ポケットから差し出したのは、ポケマメ。
「美味しそうに食べてますね。・・・・・・あれ、何処かで?」
 食べている表情を見て、リーリエも既視感を覚えたみたいだ。
 そう、このルナアーラは――。

「やっぱり・・・・・・こすも、なのか?」
『え!?』
 あの時、ソルガレオと一緒に消えたこすも。
 面影は見えないが、微かなナニかを感じているんだ。
 
 疑問形で問うたが、俺は確信を持ってルナアーラを見つめる。

 そして――ルナアーラは顔を擦り寄せてきて、答えを示した。

「サヨナラくらい言っても良かっただろう、コイツめ」
 俺は、久しぶりの再開にルナアーラの頭をキツく抱きしめて、あの時の不満をぶつけた。