転生先はポケモン 25話

転生先はポケモン 25話

 おまたせ、きのみジュースしかなかったけどいいかな?


「えー、という事で、環境によってポケモンは姿形が変わる事も__うん?」
 慌ただしい非日常が終わってから数日。
 欠伸をかみ殺しながらいつも通りの授業を聞いていると、時間を知らせる鐘がカンカンと響く。
「なんだ騒がしいな」
 鐘に引っ付いているネッコアラは、普段そんなに鳴らさないが・・・・・・。なにかあったのだろうか。
「ウルトラガーディアンズの諸君! 出動準備ダークライ!」
 荒ぶるネッコアラを眺めていたら、教室にオーキド校長が入ってきた。
「ルザミーネさんから連絡があったんですね?」
 真剣な顔をしたククイ博士が校長に問いかける。頷いた校長は、
「うむ。新たなウルトラビーストの目撃情報が入ったそうだ。そこでいよいよ、君たちウルトラガーディアンズの出番ということダーテング!」
 モノマネをしている校長を置いて、ククイ博士は黒板を上に押し上げた。
「って、えぇっ」
 黒板の下には何やらハイテクな機械があり、真ん中の大きなスイッチを博士が押すと__。
「えぇ・・・・・・どういう仕組みなんだよ」
 教室の壁が回転し、俺達が入れるような大きさの空間が出来た。
「エーテル財団が教室に改造を施したんだ。直ぐに出動できるようにね」
 ククイ博士はそう言うが、すげぇ金が掛かってそうな出来だ。
「それじゃ皆、位置についてくれ」
「俺いっちばーんっ」
 サトシが最初に入り、俺も続く。全員が中に揃うと扉が閉まり、床が降下し始めた。
「おっととっ」
 グングンと下がる中、足下から噛んだ後のガムのようなモノが首から下に纏わり付いた。
「なんだ!? うわっ、やめっ、やめろぉっ。流行らせコラ!」
 俺の体に吸い付くようピッタリと着用されたソレは、白を基調にしたスーツだった。
「こんな、戦隊スーツみたいなモノッ」
 恥ずかしっ。なんで着なきゃいけないんだ! 脱ぎたい。
 だが周りの反応を見ると、カッコイイとか言ってる。
「カキ、そのスーツ気に入ったのか?」
「ん、おう。似合うだろ?」
「・・・・・・あぁ」
 なんでもかんでもカッコイイというサトシは置いといて、年が比較的近いカキに聞くが、味方はいなかった。
 ガクリと項垂れていると、降下が止まった。

「着いたのか?」
 シュンッ、と扉が開くと、近未来のような秘密基地と言い表す感じの部屋に出た。
「あれ、ピクシーじゃないか」
「ピックシッ」
 その部屋にはピクシーがいて、俺達の方へ歩いてくる。
『アローラ、ウルトラガーディアンズの皆!』
 その時、部屋の中央からホログラムが浮かび、ルザミーネさんが映った。
「あ、お母様。何故ここにピクシーが?」
『ピクシーは、今日からウルトラガーディアンズの一員として補佐につく事になったの』
 と、そこでホログラム映像が切り替わる。
『これを見てちょうだい』
 映ったのは、「アローラ探偵ラキ」というドラマ番組の収録風景。
『犯人はあなたロトッ』
 再放送も欠かさず見ているロトムのテンションが上がるが、見るべき所はそこじゃない。
「おい、後ろの方を見てみろ」
 空にウルトラホールが現れ、ウツロイドとは別のウルトラビーストが出てくる。
『私達は、このウルトラビーストをマッシブーンと名付ける事にしました』
 更に場面は代わり、通報されたのかジュンサーさん達が出したカイリキーに囲まれていた。
「おいおい、あんな強そうなカイリキーを軽々と投げているぞ」
「はえ^~すっごいムキムキ、カッコイイ」
 俺は、マッシブーンの力に驚いてるカキの横で呟いたスイレンの趣向に驚いた。
『それじゃあ、このウルトラビーストの情報はロトムに転送するわ』
『了解ロトーッ』
 ホログラムを映し出している機械とロトムが繋がると、ロトム図鑑が更新されたみたいだ。
『ピピッ。マッシブーン、ぼうちょうポケモン__』
「えっ、ポケモン!?」
 ウルトラビーストではなく、ポケモンとして図鑑に登録された事に驚いたマオ。
『研究の結果、ウルトラビーストをポケモンとして定義づける事にしたの』
 ルザミーネさんの隣に控えてるバーネット博士はそう言うが、あの得体の知れない・・・・・・いや、デオキシスとかいるし今差だよな。
『マッシブーン。むし・かくとうタイプ。一発のパンチで、ダンプカーを粉砕する程のパワーの持ち主』
 一発って、規格外だなぁ。でも俺のバンギラスなら出来そうだ。
『マッシブーンは今、知らない世界に放り出され、戸惑ってる故の行動で暴れているだけだと思うの。だから一度捕獲して、元の世界に戻すのを協力してちょうだい』
しかし、この世界のモンスターボールで捕まえられるのか?
 そう思っていると、ピクシーが見た事無いボールがたんまり入った箱を持ってきた。
『それはウルトラビースト専用として開発した、ウルトラボールです』
『といっても、モンスターボールを参考にしたからバトルで疲れさせてからの方が有効よ』
 ビッケさんとルザミーネさんがそう言うと、一通りの説明は終わったみたいだ。
『それでは、ウルトラガーディアンズ。出動よ!』
『はいッ』
 回復アイテムの箱も受けとり、気合いを入れて返事をしたのだが・・・・・・。
『あっ。そこは、「ウルト、ラジャー」でお願い』
「お、お母様ったら」
 えぇ。このスーツといい、ルザミーネさんって特撮が好きなのかな。そんなの俺には出来ないよ。
「かっけーッ」
 サトシは安定だけどな。
『それじゃ、もう一度。皆、出動よ!』
『ウルトラ、ジャーッ』
「・・・・・・ラジャー」
 あぁ。顔が熱い。
***

 位置につくと、一人につきライドポケモンが用意されていた。
 サトシはガブリアス、マオはフライゴンといった具合だ。
「それじゃ、よろしくな」
 俺が乗らせて貰うのは、ボーマンダ。紅い翼がカッコイイぜ。
 ずっしりとした巨体に乗り込み、飛び上がる。
「ユウキ、行きまーす!」
 皆に聞かれないよう、最後に飛んで呟く。
 一度言ってみたかったんだ。ルザミーネさんの事を悪く言えんな。
『あら、ユウキ君もそういうの好きなのね』
「・・・・・・通信繋がってるんですか?」
『えぇ。スーツの機能で、腕の所から映像と音声が__』
 __ブチッ。
 ふぅ、これで安心だ。
「さぁ、ボーマンダ。思いっきり飛んでくれ」
 顔の火照りを冷ますくらいにな。
***

 新たに入った情報によると、この辺でマッシブーンがポケモンを襲っているというが・・・・・・。
「あれじゃないか!?」
 先頭を飛んでいたカキが真っ先に気付き、マッシブーンの元へと降りる。
「コラー、止めろーッ」
 そこにはマッシブーンとカビゴンが居たのだが、カビゴンは襲われて自慢の巨体が縮んでいた。
「吸血かなにかで吸われたのか? とりあえず、きのみを食わせよう」
 マッシブーンは、尖った口をしている。恐らくそこから吸ったのだろう。
 というか、まんま蚊だな。
「まてーッ」
 逃げたマッシブーンをサトシが追いかけるが、一人じゃ危険だ。
「俺もマッシブーンを追いかける。此処は頼んだ」
 カビゴンの事はマオ達に任せて、カキと共に走りだす。

 少し先に居たが、既にサトシがバトルしているようだ。
「ぐっ。ピカチュウ、電光石火だッ」
「マブシ、マブシッ」
 おいおい、ピカチュウの電光石火と並行してるぞ。
「マッブシ!」
「ピーカーピーッ」
 更にピカチュウを空高く、アッパーで打ち上げた。
 なんてパワーとスピードだ。
「加勢するッ。行け、バンギラス!」
「マブシ?」
 バンギラスに気付いたマッシブーンは、ジリジリと距離を詰めて、
『・・・・・・』

 __ドゴォンッ。

 同時に飛び出し、互いの腕を掴み合う。
「バンギラスとの力比べで負けないとは。あの筋肉は見かけ倒しじゃあねえのか」
 マッシブーンとバンギラスはお互い動かず、いや、動けずにいた。二体からは、ゴゴゴというオーラまで見える気がする。
「この勝負、どう動くッ」
 カキがそう言うと、マッシブーンは聞こえたのか、カキの方へと顔を向けた。
 その時、
「うわぁッ。な、なんだ!?」
 バンギラスとの組み合いを止め、カキの目の前に移動してきた。
「・・・・・・」
 マッシブーンはカキの体を上から下まで舐めるように見ると、数歩下がり、
「マブシ!」
 ポーズをとった。うん?
「いったい何だ?」
「さぁ?」
 俺とカキは顔を合わせてハテナを浮かべるが、マッシブーンは変わらずポージングを決める。
「ンマッシッ。マシッ」
「やれって事じゃない?」
「俺がか!?」
 だってカキを見てからやったんだもの。そうじゃない? スーツの色が赤で似てるし、そうだよ(便乗)。
「マ、マブシ!」
 少し照れた様子のカキは、両腕を上げてガッツポーズを取った。ふむ、ダブルバイセップスか。
 それを見たマッシブーンは横を向き、胸を強調するよう立つ。あれは、サイドチェストかッ。
「お、なんか楽しそうだな! マブシッ」
 ピカチュウを回収したサトシも参加してくる。
「おいおいサトシ。バックダブルバイセップスならこうだぞ」
「え、こう?」
「あぁ、見とけよ見とけよー。こう、後ろを向いて・・・・・マブシッ」
『マブシッ』
 やべ、なんか楽しくなってきた。
 皆でボディビル大会。いいゾ~コレ。

「あっ」
 後ろを向いた事により、気付いた事があった。
「・・・・・・いつからおったん?」
『バンギラスと戦ってた所から』
 既にカビゴンを治療し終わったマオ達がそこにいた。
「これは、別に遊んでた訳じゃ。そうッ、全ては油断させるためなんだ!」
『へー』
 くっ、生暖かい目が辛いッ。
「オラッ、てめえら。いつまで遊んでんだ! ゲットのチャンスだろ! ゴラァッ」
 恥を捨て去るようにウルトラボールをマッシブーンに投げる。
「マッシ。__マッシ!?」
 俺の真似をして、後ろを向いてポーズをしていたマッシブーンにボールを当てるのは簡単な事。
 見事に入り、ぐらぐらとボールは揺れる。
『ゴクリッ』
 一回、二回・・・・・・。三回と揺れ、
 __キランッ。
『やったー!』
 マッシブーン、ウルトラゲットだぜッ。
***

「この辺りみたいね。よし、ウルトラホールを開けるわよ」
 マッシブーンが初めて現れた場所、メレメレの花園に移動し、バーネット博士達が帰らせる為の準備を始める。
「一度ウルトラホールが開いた所は開きやすくなってるの。うん、セット完了」
 空にはウルトラホールが現れ、後はマッシブーンを出すだけだ。
「出て来い、マッシブーン」
「マブシッ。マ、マブシ!?」
 辺りを見回したマッシブーンは、帰り道が分かったみたいだ。
「ほら、お前の世界に帰りな」
 コクリと頷いたマッシブーンは、ゆっくりとウルトラホールに飛んでいく。
「マッシブーン!」
「マブシ?」
 直前にサトシがマッシブーンを呼び止め、
『マブシ!』
 今度は俺達全員でポーズを決める。
「・・・・・・マッブシ!」
 
 今日一番キレのあるポージングのまま、マッシブーンはウルトラホールの向こうへと消えて行った。

 こうして、ウルトラガーディアンズの最初の任務は見事成功で終わった。
 めでたしめでた__。
「ところでユウキ、さっきのポーズの事なんだけど」
「あと、お母様から聞きました。意外と子供っぽいのがお好きなんですってね」
「可愛い」
 ファッ!?
「行け、ボーマンダ! 高く舞い上がれぇッ」

 ニヤニヤと迫る女子達を躱し、俺はボーマンダと共にメレメレの花園から逃げだした。
 今日の事は忘れて下さい、オナシャス!