転生先はポケモン 18話

転生先はポケモン 18話

 シリアス展開は止めてくレントラー

 最近は色んな事が起きている。なので、少し日記を付けようと思う。
 まずは、こすもの事だ。スクールの皆は、ほしぐもの事は知っていたみたいだが、二体目の出現に驚いていた。
 こすもは、ほしぐもと違って大人しめだ。だけど、お腹が空いたらテレポートをするのは止めて欲しい。この前はテンカラットヒルから落ちて死にかけた。
 そこでグラジオと偶然出会ったが、こすもを見ると表情を険しくさせた。話を聞くと、グラジオとリーリエは小さい頃にウルトラビーストに襲われたらしい。
 リーリエは覚えていないが、その時の恐怖を無意識の底に刻みつけられてトラウマとなっているから、ポケモンに触れなくなったんだろう。
 グラジオにバトルを申し込まれたが、それとなく断った。
 だってグラジオ君と居ると、昔の自分を見ているみたいでゾワゾワするんだ。
 でも、シルヴァディってポケモンは強そうに見えたな。
 いつかは戦ってみたい。
 それとテレポートはもうイヤなので、ポケマメを切らさないように気をつけよう。

 そして、昨日は皆でエーテル財団を見学してきた。
 ルザミーネさんがスクールでのリーリエの様子を知りたいらしくて招待してくれたみたいだ。
 でも、俺との仲の良さを詳しく聞くのは止めて欲しかった。
 何故かリーリエは赤い顔でモジモジしたり、俺の方をチラチラと見てくるだけだ。
 マオとスイレンは俺を睨んでくるし・・・・・・。

 その後、ルザミーネさんは仕事が忙しいらしく出て行ってしまった。
 リーリエはどこか不満そうだ。
 恐らく、寂しいんだろう。母親がいつも忙しくて構ってもらえず、顔を合わせてもきちんと自分を見てもらえない。
 いつもしっかり・・・・・・、うん。しっかりしてるし真面目な優等、生。・・・・・・この頃はちょっと変な事を言ってるが、それはきっと寂しさや不満が溜まっているからだろうな。
 なのでリーリエの頭を撫でていたら、マオとスイレンに頬を引っ張られた。なんで?
 他にも、見学中にメタモンが逃げだしたと思ったらヌオーに変身して隠れたり__。

「ん? どうした、こすも」
「コッシュッ」
 日記を書いてる途中で、こすもが目の前に現れた。
 多分、お腹が空いたんだろう。
「はいはい、マメな。ちょっと待ってなー」
 確か此処に・・・・・・。あれ?
「あれれー、おっかしーぞー」
 昨日買ってきたばかりなのに、もう空になっている。
「まて、こすも。落ち着け、やめ__」
 ポケマメが無い事に気付いたこすもは、俺の顔にへばりついて技を発動させた。
***
 恐る恐る目を開けると、
「あら、ユウキ君じゃない」
 目の前にはルザミーネさんがいた。
 下着姿で。
「これから寝るところだったのだけれど、どうしたのかしら?」
 今、俺がやるべき事は、
「ごめんなさいっ。いや本当わざとじゃないんですぅ」
 土下座だよな。
「あらあら、いいのよ。でもリーリエには言っとくわね」
「勘弁してください」
 何故か俺が瀕死になる未来が見えた。
 するとルザミーネさんは、口元を抑えて笑い出す。
「大丈夫、冗談よ」
「はぁ・・・・・・」
 着替えてるルザミーネさんを見ないように背を向くと、写真が立て掛けられているのに気付いた。
「寝室、写真だらけですね」
 ネグリジェを着たルザミーネさんはベッドに腰掛けると、写真立てを一つ手に取る。
「えぇ。いつも一緒に居られないから、せめてね」
 ・・・・・・そっか。一緒に居たいと思ってるのはリーリエだけじゃないんだな。
「それなら、もっとリーリエの事を見てあげて下さい。リーリエも貴女と話したいと思ってるんです」
 しかし、ルザミーネさんは苦笑を洩らす。
「これでも企業の代表だから、時間がね。それに研究しないと。ウルトラビーストの事を__」
 ルザミーネさんの目線は手に持っている写真立てにある筈なのに、瞳の奥は別のモノを見ていて、
「知りたいから」
 その表情はリーリエの母親では無く、一人の研究者としての利己的な顔だった。

「ところで、一緒に寝る?」
「お邪魔しました」
***
 さて、また日記を書こうか。
 昨日の夜は思わぬ事が起きたが、忘れよう。
 ほしぐものテレポートは考えてた場所に飛んでいくが、こすもは違うよな? ・・・・・・違うよね。
 
 最近、ほしぐもとこすもの定期検診にバーネット博士が家に来る。今も下のリビングでほしぐも達を見ているが、ククイ博士の方もチラチラと見ている。
 あれは、恋する目だ。間違い無い。
 俺はそういう目線は敏感だから、すぐに気付く。
 あれ? なんか急に寒気が・・・・・・。
 そういえば、今日はお泊まり会をするって言ってたっけ。
 そろそろ来る時間__。

『アローラ!』
 来たみたいだ。さて、出迎えるか。
***
 丁度家に居たバーネット博士も加えて、お泊まり会は始まった。
「ロフトがあるじゃん、僕そこで寝たいっ」
「俺とサトシの部屋だが、別にいいぞ」
 マーマネが寝る場所を指定すると、他の皆も手を挙げる。
「わたくしもそこがいいです」
『私達も』
 さっきまで興味無さげだったのに、急になんだ?
「じゃあ、勝負して決めようかっ」
 サトシが勝負内容を考えてると、ほしぐもがテレポートして現れる。
「あっ。じゃあ、ほしぐもを探すゲームをしよう」
 サトシの提案で、またテレポートで消えたほしぐもを探し始める皆だが、
「こっちがユウキの布団かな」
「間違いない。ユウキの匂いが微かに」
「わたくしの論理的結論に基づいた結果・・・・・・」
 女子達は何を探してるんだろう。

 結果は女子達の勝利で、寝床を取られてしまった。
「ユウキは自分の布団で寝て良いよ?」
「いや、リビングのソファで結構です」
 スイレンの誘いを丁重にお断りして、晩ご飯の準備に向かう。

「あっ、手伝うよー」
「わ、わたくしもっ」
 マオの手は有り難いが、
「その、リーリエは、料理出来るの?」
 すると不服そうに頬を膨らましたリーリエが顔を近づけてくる。
「出来ますっ。・・・・・・前にお母様から教わりました」
 少し自信無く言うので不安だが、任せてみるか。
***
 予想に反して、リーリエは意外と上手かった。
「まぁ。指を切りそうになったりで、心臓に悪かったが」
「えへへ。ニャビーの手にするのを忘れてました」
 恥ずかしそうに笑うリーリエだが、徐々に表情が曇っていく。
「忘れてました・・・・・・。昔の事だったので」
「リーリエ・・・・・・」
 ルザミーネさんがリーリエの事を大事に思っている事を言おうか迷っていると、
「あぁっ、ゴンベがっ」
 マオが突然叫びだし、注目を集める。
「ゴンベ・・・・・・、もうっ。私のポケモンがごめんなさいね、直ぐに食材を買ってくるわ」
「僕も行こう」
 バーネット博士とククイ博士が買い物に出るが、マーマネの腹の音が響き渡る。
「うぅ、我慢できないよぉ」
「じゃあバトルで気を紛らわそうぜっ」
 流石サトシ。困った時はバトルってか。
***
 晩ご飯を食べ終えて、皆が寝静まった頃。
「ん、誰か外に出たのか?」
 玄関のドアが閉まる音が聞こえて、気になったので確かめると、砂浜の方にリーリエが座ってるのが見えた。
「眠れないのか?」
「ユウキ・・・・・・。はい」
 隣に腰掛けると、俺に気付いたリーリエは顔を上げるが、また海の方に視線を向ける。
「今朝、お母様と口論になってしまいまして。モヤモヤしてるんです」
 膝を抱えるリーリエは溜め息を吐いた。
「はぁ、お母様はいつも自分の都合ばかり。いつからこうなっちゃったのかな」
 やはり、言うべきか。
「ルザミーネさんは忙しい身だけど、あの人なりにリーリエの事を大切に思ってるよ」
「そんな、事」
 いまいち信じ切れないリーリエは、砂浜を見つめる。
「あの人の寝室は、家族の写真で埋まってた。ルザミーネさんも一緒に居たいけど、難しいからせめて写真でもって」
 それを聞いたリーリエは、目を見開いた。
「だから、今度ちゃんと話してみなよ」
「お母様が・・・・・・。はい、そうですね」
 リーリエは気が晴れた様子だ。うん、これで少しは力になれたかな? また昔みたいに仲良くなれるといいね。

「ところでユウキ」
「うん?」
「何故、お母様の寝室に?」
「・・・・・・あっ」
***
「皆、気をつけて帰るんだぞ」
『お世話になりましたっ』
 次の日の朝。お泊まり会は終わり、家の前で解散する。
「ユウキ。目の下の隈が凄いが、大丈夫か?」
「・・・・・・大丈夫。途中まで皆を送って行くよ」
 ククイ博士の心配を余所に、帰って行く皆を追いかける。

「またお泊まり会したいねー」
「今度は僕の家はどう?」
「いいねっ」
 マオ達は楽しかったと話しているみたいだが、眠くて会話に参加できない。
 昨日は何故かリーリエの機嫌が急に悪くなった為、暫く拘束されていた。
 しかも隣で、俺の肩を枕に寝始めたので動けなかったし。
 一言リーリエに文句を言ってやろうと、隣を見るが、
「あれ? リーリエ何処行った?」
 皆も周りを見るが、居ない。
「あ、ほしぐもも居ないぞっ」
 なんだ、またテレポートに巻き込まれたのか。
 
 そして、数秒経った頃にリーリエは戻って来た。
「今度は何処行ってたんだ?」
「グラジオ、お兄様の所に・・・・・・」
 突然、膝を崩して座り込むリーリエ。
「そしたら、知らないポケモン、が」
 知らない? シルヴァディの事か?
「コーン」
 様子がおかしいリーリエを心配して、シロンは傍に寄るが、
「いやっ!」

 リーリエは、シロンを拒絶した。