転生先はポケモン 11話

転生先はポケモン 11話

 どくどくポイズンで大変ダストダス

 アローラに来てから、数週間が過ぎた。
 ここ最近は、いろいろな事があったなぁ。
 サトシがハラさんの大試練を突破したり、カキの牧場に手伝いに行ったり。
「ユウキもこっちにおいでよーっ!」
 思い耽っていたら、マオに呼ばれた。
「おーう! リーリエも行こうぜ」
「わ、わたくしは卵が……」
「そんな似合ってる水着を着てるのに、遊ばないのは勿体無いって」
「へ、あ、ありがとうございましゅ」
 なにやら動揺しているリーリエを引っ張り、マオ達の元に向かう。
「じゃ、博士。卵をお願いします」
「はいよ」
 今日は、課外授業で海に来ていた。
「それっ」
 海に入ると、マオに水をかけられる。
「それそれっ」
「うわっぷっ。お返しだっ!」
 水を手で掬い、マオとリーリエに掛けた。
「きゃっ。それならこっちは、スイレン!」
「任せて。アシマリ、宜しく」
 スイレンはアシマリと協力して、水を被せてくる。
「ちょ、げほっ。ずるいだろ。ならこっちも」
 ポケモンにはポケモンで。
「マリルリ、こっちに来るんだ!」
 砂浜でバクフーンと遊んでいたマリルリを呼び、戦力を増強させる。
「よしっ。俺達もやるぞピカチュウ!」
「僕は、作ったこのブロスター型の水鉄砲で!」
 少し離れて遊んでいた、サトシ達も参加してくる。
「カキも来いよー!」
 カキも呼び、クラスメート全員で水を掛けあう。
 たまには、こういう学生らしい青春も悪くない。
****
「よし。じゃあ、そろそろ授業を始めるぞ」
 午前中は海で遊びまくり、昼食を食べ終えた頃、ククイ博士は皆に号令を掛けて集合させた。
「今回は、野生のポケモンの観察だ。それぞれターゲットを見つけて、レポートを書くように」
『はいっ』
 博士の説明が終わり、皆はそれぞれ別の場所に向かう。
「そういや、さっきのヒドイデみたいなポケモンがいるかもな。一応バッグを持っていこう」
 午前中、サトシは海で泳いでる時に襲われたのだ。
 博士は、強力な毒を持っているヒドイデというポケモンだと答えた。
 なので、一応襲われてしまった時の為に道具が詰まっているバッグを持って、ポケモンを探しに行く。
「おぉ。ヒトデマンにシェルダー、なんか懐かしいポケモンばっかだな」
 他にもヤドンなど、カントーでよく見るポケモンが沢山いた。
「おっ、あれはサニーゴか。よし、決まり」
 少し離れた岩場にサニーゴの群れがいたので、観察するために近づく。
「そういや、サニーゴをこんなにじっくりと見た事なかったなー」
 観察しながらレポートを書いていると、新たな発見などがあった。
「ふーん。体に生えてる枝の数とか違うんだなぁ。お、あいつほとんどの枝が折れてる」 
 そのまま観察を続けていると、近くの水面からスイレンが浮き上がって来た。
「ぷはっ。あれ、ユウキ」
「おう、調子はどうだ?」
 進捗を聞かれたスイレンは、岩場を登って俺の横に座りながら答えた。
「こっちは、チョンチーとか色々。あ、ユウキはあのサニーゴを?」
「あぁ。じっくり観察していると、気づいた事がいっぱいあったよ」
 そう答えるとスイレンは、俺の手元に視線を落とし、レポートを見る。
「おー。見てもいい?」
 もう書き終えた所なので、レポート用紙をスイレンに渡す。
 横を見ると、アシマリが暇そうにバルーンを膨らまして遊んでいた。
「アシマリ、こっちおいで」
 レポートを読んでいるスイレンに代わり、アシマリと遊ぶ。
「気のせいか、バルーン頑丈になってないか?」
「アウッ、アウッ」
 同意する様に鳴くアシマリ。
 そうか、特訓頑張ってるもんな。
「あれ? サニーゴがいなくなってる」
 スイレンはレポートを読み終わったのか、顔を上げて周りを見る。
「本当だな。まぁ、もう書き終えたし。行こうか」
 レポートを受け取り、スイレンと一緒に砂浜に戻ろうと__。
「ッ!? スイレンッ」
 スイレンの後ろからポケモンが跳んできたのが見えた。
「えっ? ヒドイデッ__!?」
 スイレンが振り向いた時には、もう顔に当たりそうになっていた。
「くそっ」
 俺は咄嗟にスイレンを引っ張り、位置を変えた。
 顔の前で交差させた腕に、鋭い痛みが走る。
「ユウキッ」
……スイレンの声が遠く聞こえる。
 それに何故か、俺は地面に横たわっていた。
「アシマリッ、ヒドイデを!」
 どうやら俺は、毒を受けてしまったようだ。
「スイ、レン……。カバ、ンを」
 声も掠れて、上手く発声できない。
 瞼も重くなってきた。
 俺の目に最後に映ったのは、スイレンが涙を流している顔だった。
****
「うん……?」
 目を覚ますと、最初に写ったのは不安そうなスイレンの顔だった。
「あ、よかった……。どくけし使っても具合悪そうだったから」
 どうやら、カバンの中に入ってたどくけしを使ってくれたみたいだ。
「すまん。迷惑かけたな」
 スイレンの膝から起きて謝ると、スイレンは激しく首を横に振る。
「違っ、それは私の方で……」
 先ほどの事で落ち込んでしまったスイレンに、言葉を掛けようとするが、違和感に気づいた。
「あれ、なんで砂浜に? どうやって……」
 さっきの岩場は少し離れている。今いるのは、集合地点の砂浜だ。
 スイレンでは俺を運ぶ事は出来ないし、アシマリが手伝っても……。
「えっと、実は__」
 考え込んでいると、スイレンが言いにくそうに口を開こうとするが、やめて左を指さした。
 首を傾げて、示された方を見ると。
「へ、なっ!」
 少し離れた方で、あるポケモンが皆と遊んでいた。
 そのポケモンは、俺が驚きの声をあげると、此方に飛んでくる。
「フゥーンッ!」
 俺の前に来ると、嬉しそうに体を擦り付けてくる。
「なっ、ラティアスッ!? なんで、ボールから」
 俺の手持ちである、ラティアスが勝手にモンスターボールから出てきていた。
 戸惑いながらもラティアスを撫でていると、俺が起きたのに気づき、皆も此方にやって来る。
「お、ユウキ。目が覚めたか。驚いたぞ、ここで皆を待っていたら、そのラティアスがユウキを乗せて来たんだから」
 博士がそう言うと、スイレンも頷き答える。
「うん。ユウキが気を失ってすぐに、ユウキのカバンに入ってたボールが揺れて、中からその子が出てきたの」
 なるほど。こいつは俺の手持ちの中でも、一番心配性なやつだからな。 
「ありがとうな。ラティアス」
 感謝を伝えながら撫でると、ラティアスは気持ち良さそうに目を細める。
「ねぇ。ラティアスって伝説のポケモンなんだよね?」
 マオが疑問を口にすると、博士が答えた。
「あぁ、むげんポケモンのラティアス。遠い都では、ラティオスと並んで守り神と呼ばれている伝説のポケモンだ」
 その説明で思い出すのは、今ここにいるラティアスとは別個体であるポケモン。
 サトシも思い出したのか、ラティアスを撫でながらポツリと言葉を溢す。
「あいつも元気でやってるかなぁ……」
 博士の解説を聞いた皆は、ラティアスを撫でながら感想を口々に話す。
「わたくし本で見た事はありますが、本物を初めて見ました」
「伝説のポケモンだもんねー」
「炎タイプじゃないのか?」
「エスパー・ドラゴンタイプ。ロト」
「伝説のポケモン……解析してもいい?」
 皆、中々見れないポケモンにテンションを上げている。
「ね、ユウキ……」
 ふと、スイレンに袖を引っ張られた。
「今日はホントにごめんね」
 どうやら、まだ先程の事を気にしている様だ。
「だから、気にしなくていいよ。それよりスイレンに怪我無くて、本当に良かった」
 スイレンの頭を撫でながらそう言うと、頬を桜色に染めて微笑んだ。
「うん……。ありがとう」
「うおっ!?」
 頭を撫でている手が急に動いたと思ったら、ラティアスが自分の頭に俺の手を乗せていた。
「ははっ。私を撫でろっ、てところかな?」
 博士がそう茶化す。そうだった、こいつは手持ち唯一のメスポケモンで、少し嫉妬しやすいんだった。
「まったく。体も楽になったし、遊ぼうか」
 すると、スイレンがぼそぼそと喋ってから、賛成した。
「むぅ、もう少し撫でて欲しかった……。うんっ、じゃあ皆でビーチバレーしよっか」
 スイレンの提案で、アシマリがバルーンを出して皆に飛ばしていく。
「よーしっ。それっ!」

 今日は思わぬハプニングで、ラティアスが晒されてしまった。
 だが、隠していたのは厄介な奴に目をつけられると面倒だからだ。
 その点、皆なら大丈夫だろう。幸い今日は他に人が居なかったし。
「フゥーン」
 おっと、考え込みすぎたみたいだ。
 今は、みんなと楽しもう。
 ラティアスにバルーンを返し、遊ぶために思考を切り替えた。