転生先はポケモン 6話

転生先はポケモン 6話

出会いに再会イシズマイ

ククイ博士の家で朝ごはんを食べていると、博士に声を掛けられた。
「そういえば、ユウキとサトシに見せたいモノがあるんだ」
 博士はそう言って、赤いボディの機械を手渡してくる。
「これは?」
 サトシが疑問を顔に出しながら聞くと、博士は歩きながら答える。
「それはポケモン図鑑さ。起動させるから、着いておいで」
 そう言う博士に俺達は着いて行き、地下へと降りる。
 地下へ降りると、ポケモンに関する書物や、大きいモニターなどが置いてあった。
「さて、起動させるにはっと」
 博士はキーボードを叩いて、モニターを見ながら操作していく。
「よし……」
 数分経った後、博士が一言漏らすと、天井の蛍光灯が点滅した。
「な、なんだ!?」
 俺とサトシが驚いてる間にも、どんどん電気が地下室に溢れだしていく。
 そして、一際電気が漏れ出しているコンセントからナニかが飛び出してくる。
「キキキッ」
 コイツは……。
「博士、なんでロトムが?」
 そう、地下室に現れたのはポケモン。ロトムだった。
「その図鑑の完成に欠かせない存在なんだよ。まぁ、見ててご覧」
 ロトムは暫く、地下室の中を物色する様に飛び回る。
 そして、サトシが持っている図鑑を発見すると、それ目掛けて突っ込み、するりと中に入った。
「あれ、ロトムが入っちゃったよ?」
 サトシが図鑑を掲げると、突然図鑑が持ち手を離れ、浮かぶ。
「ピ、ピピピ。起動プログラム中……終了。アローラ。ユーザーユウキ、サトシ」
「図鑑が浮いて、喋った!」
「ロトム図鑑には多くの言語が内蔵され、人間とコミュニケーションを図れるようプログラミングされているロト」
 サトシがキラキラとした目で、ロトムと話す。
「す、すげー!」
「すげー? 意味不明。意味不明」
「サトシは、君の性能が素晴らしいって感心したのさ」
「理解したロト。『すげ~』は素晴らしいの意味。つまり、ロトム図鑑は素晴らしい」
 学習機能付きとは、高性能だな。すげー。
「これから、よロトしく。ロト」
 ロトムは挨拶をしながら、ピカチュウや博士のイワンコの写真を撮っていく。
「なんで、写真を撮ってるんだ?」
 俺がそう聞くと、ロトムはパシャパシャとシャッター音を鳴らしながら答える。
「出会ったポケモンのデータを図鑑に保存するためロト。ロトム図鑑は、ポケモンに出会うごとにデータがアップデートされていく自己学習型ポケモン図鑑ロト」
 なるほど、今回のポケモン図鑑は高性能だな。
「よくわかんないけど、やっぱりすげー!」
 おい、サトシ。お前、今まで散々図鑑を使ってきただろう。
「今の僕はただのロトムではなく、ロトム図鑑。正確には、ロトムポケデックスフォルム」
「ロトムぽケで、デラッ?」
 おい、サトシ。お前、知能指数落ちすぎじゃないか?
「まぁ、いいや。ピカチュウのこと、図鑑でどう説明されてるのか聞かせてほしいな」
 サトシがそう聞くと、ロトムはグルグルと飛びながら解説する。
「ピカチュウ……ねずみポケモン。尻尾を立てて周りの気配を感じ取る」
 そして、ピカチュウの背後に浮かび__。
「むやみに尻尾を引っ張ると、噛みつく」
 ピカチュウの尻尾を引っ張った。
……あ、ヤバい。
「あばばばばば」
 ピカチュウが機嫌を損ねて、俺達に電撃を浴びせる。
「噛みつくじゃなくて、電撃だったロトーッ!」
 今回の図鑑は、中々に大変そうだ……。
****
「私、マオ。よろしくね、ロトム!」
 スクールに登校した俺達は、皆にロトム図鑑を紹介した。
「一体、どんな風にプログラミングされてるのかなー。今度キミを解析させてよ、ロトム」
 ドライバーをチラつかせながら、マーマネがロトムと話していると、校長先生がやって来る。
「おー、君がロトム図鑑か。よろしコダック、アーボックー!」
「よろしコダック、アーボック? 意味不明。意味不明」
 ロトムが困惑していると、マオが助け船をだす。
「気にしないで。校長先生はポケモンギャグが大好きなの」
「ポケモン、ギャグ……」
 ロトムが何やら、考え込んでいると、校長先生が話掛けた。
「どうだい、ロトム。図鑑の中は居心地いいかい?」
「い……いいかいカイリューウデッポウ! まぁマーイーカ、ありがとウパー!」
 おい、ロトム。
「おぉ~! ロトムとは気が合いソ~ナノ!」
 ロトムと校長先生が、ポケモンギャグで話し合う。
 なんだこれ。
「よろしクチート!」
「ありがとウパー!」
……なんだこれ。
****
 今日の授業は、フィールドワーク。サトシにとっては新しい仲間をゲット出来るチャンスだ。
「そろそろ、野生のポケモンに出会いそうな予感がする!」
「この辺の野生ポケモン出現率は、約八十%ロト!」
 サトシとロトムが会話をしながら森を歩いていると、少し進んだ所にポケモンが佇んでいた。
「ん、あれ? ピカチュウ?」
 まるで、ピカチュウの様な姿をしているポケモン。
 だが、よく見ると顔などが違う気がする。
「いえ、あの子はミミッキュですね。本で読んだ事があります、タイプは……」
 リーリエが目の前のポケモンの説明をしようとするが。
「待つロト! 僕にお任せロト」
 図鑑の役割を持つ、ロトムが解説を引き継ぐ。
「ミミッキュ………ばけのかわポケモン。ゴースト・フェアリータイプ。ピカチュウそっくりのボロきれを被っていること以外は、正体不明の謎多きポケモン。中身を見ようとした学者はショック死したと言われている」
 怖っ! 滅茶苦茶怖いポケモンだな。
「よし、ピカチュウ! ミミッキュをゲットするぜ!」
 マジか、ゲットしちゃうのか。
 サトシはピカチュウに技を指示をする。
「アイアンテールだっ!」
 繰り出された技は、ミミッキュに命中した、が。
「ケ、ケケッ」
 直撃したはずなのに、ミミッキュはビクともしていない。
「なっ、鋼タイプの技は効果抜群なはずなのに、まったく効いてないのか!?」
 驚いて、ロトムにもう一度ミミッキュのタイプを聞こうとするが。
「ピピッ、わかったロト! ミミッキュの特性、ばけのかわロト。ばけのかわは、どんな攻撃でも一度は無効化するロト!」
 なにそのチート。
 ピカチュウの攻撃を防いだミミッキュは、素早い動きで接近し、ピカチュウにじゃれつく攻撃を繰り出した。
「くっ、接近戦は危険だ。ピカチュウ、エレキボール!」
 ピカチュウは尻尾の先端から電気の球体を生成し、相手に放つ。
「ケケッ!」
 だが、ミミッキュはシャドーボールを放ち、相殺する。
「なら次はっ__」
 サトシは次の技を指示しようと口を開いた、その時。
『ちょっと待ちな!』
 何処からか声が響き、正面に人影が現れる。
「な、なんだお前たちは!?」
 カキ達、アローラ組はそう疑問を口にする。
「なんだ、お前たちはと聞かれたら。聞かせてあげよう我らが名」
……あぁ、あいつら、やっぱり来てたのか。
「花顔柳腰・羞月閉花、儚きこの世に咲く一輪の悪の花、ムサシ!」
「飛竜乗雲・英姿颯爽、切なきこの世に一矢報いる悪の使徒、コジロウ!」
「一蓮托生・連帯責任、親しき仲にも小判輝く悪の星、ニャースでニャース!」
『ロケット団、参上!』
「ニャのニャ!」
「ソォーナンスッ!」
 また、前口上が変わってるなぁ。
 派手な登場をしたロケット団に、アローラ組はポカンとしている。
「ロケット団? ……データにないロト」
「ふふん。ロケット団というのは、世界で超有名な悪の組織だ」
「そんな事も知らないニャんて、困った図鑑なのニャー」
 ロトムの疑問に、嘲笑しながら答えるロケット団。
 だがロトムは気にせず、喋ったニャースに興味深々で近づいて行く。
「ロトっ、喋るニャース。新種ロト!?」
 ニャースの周りを飛びながら、写真を撮っていくロトム。
「ニャー、鬱陶しいニャ!」
 いまだに警戒心を抱いていないアローラ組に、俺とサトシは注意を呼び掛ける。
「ロトム、戻ってこい。そいつらは悪党だぞ」
「あぁ、あいつらは人のポケモンを奪う、悪い奴らなんだ!」
 ポケモンを奪う。それを聞いた皆は、抱いているポケモンを守るように構えた。
「人のポケモンを取るのは、泥棒なんだぞ!」
 マーマネがそう言うが、ロケット団は、挑発する様に言葉を返す。
「べーっだ! 褒め言葉ですよーん。てゆーかミミッキュはあたしらが先に捕まえようと思ってたんだから!」
「おい、ロケット団。毎回毎回としつこいぞ」
「ここで会ったが、百年目よ。ジャリブラザーズ」
 俺もサトシの横に立ち、腰のボールに手を掛けて構える。
「おミャーらの強さは知っているニャ。だが真剣勝負、今日こそ負けないニャ!」
 ニャースはそう言い、ピカチュウ目掛けて、みだれひっかきを繰り出す。
「ピカチュウ、迎え撃て!」
 迫るニャースに、電気の球体を放つ。
「いきニャり、エレキボール!?」
 そのまま、ニャースに技が直撃する__。
「ケケッ」
 と、思いきや。横からシャドーボールが割り込み、ニャースは事なきを得る。
「ニャー、ミミッキュ。助かったニャ」
「ケ、ケケケッ!」
 ニャースとミミッキュは何やら、会話をしている。
「ふむふむ。ニャッ! ミミッキュが、ニャー達に手を貸すと言っているニャ!」
 いくら野生ポケモンといっても、面倒くさい事になったな。
「ミミッキュはピカチュウを憎んでいるらしいニャ。……ミミッキュは、好き好んでピカチュウの姿をしてるわけじゃないのニャ。その姿こそがミミッキュ最大の憎しみらしいのニャ」
 ニャースがなにやら、震えながらミミッキュの言葉を翻訳する。
 にしても。ミミッキュって、本当に怖いポケモンだなぁ。
「よくわからないけど、好都合みたいね。ミミッキュ! なにか技を出して!」
 ロケット団は勝機を感じているのか、小躍りしながら高笑いをしている。
 このまま見ているだけじゃ、まずい気がするので俺も手伝う事にした。
「行け、バンギラス!」
 俺が、今出せる最高戦力。バンギラスを呼び出す。
「ガァーッ!」
 出てきたポケモンを見たロケット団は、動きが止まり狼狽え始めた。
「や、やばいぜっ、ジャリブラザーのバンギラスが出てきやがった! 俺達のポケモンは本部に置いて来ちまったし……どうしよう」
「ちょっと! ニャース、ソーナンス! なんとかしなさいよっ」
 ロケット団が、あたふたとしている内に指示を出す。
「バンギラス、ストーンエッジだっ」
 指示を聞いたバンギラスが、地面を思いっきり踏みつける。
 すると、踏みつけた少し正面の場所から、尖った岩が突き出る。岩は、ロケット団に向かって勢いよく向かっていく。
「も、もう退場なのー!?」
 どんどんと、突き出ていく岩がとうとうロケット団に直撃する__はずだったが。
「クゥーッ!」
 ロケット団に迫った岩を、突如現れたポケモンに破壊された。
「あの、ポケモンは確か……」
 サトシと森で会ったヤバいポケモンだ。
「邪魔をするのなら、少し痛い目を見てもらうぞ! バンギラス、かみくだくだ!」
 そしてバンギラスは、クマの着ぐるみの様なポケモンに向かって技を繰り出す。
「ガァーッ!」
「キューッ!」
 だが、相手のポケモンは技を防ぎ、バンギラスと取っ組み合う。
……いやいや、俺のバンギラスと張り合えるなんて……こいつは野生のポケモンじゃないのか?
「な、なんか知らないけど、あたし達助かったの?」
「おいおい、あのバンギラスと互角っぽいぞ!」
「この隙にジャリボーイのピカチュウを頂くニャ!」
 まずいな……。
 この均衡を崩す為に、次の指示を出そうとしたが。
「キュッ!」
 突然、バンギラスと取っ組み合っていたポケモンが後退して、距離を取った。
「ちょっと、あいつを抑えてなさいよっ……へ?」
「あっ、ムサシ……へ?」
 そして着ぐるみのポケモンはロケット団二人を抱えて、何処かに走り去る。
「ニャ!? ミミッキュ、今は仲間を助けるのが先ニャ!」
 そしてニャース達も連れ去られてしまった二人を追い掛けて行く。
『な、なにこの感じー!?』
 なんか、よくわからない内に危機は去った様だ。
「あのポケモン、一体なんだ?」
 俺が疑問を口にすると、ロトムが解説してくれた。
「ピピッ、キテルグマ。ごうわんポケモン。ノーマル・かくとうタイプ。フレンドリーに腕を振るが、それは警戒の仕草、迂闊に近寄っては行けない。圧倒的な力を持ち、非常に危険」
「非常に危険……」
 しかし、強力なポケモンだったな。明日からもっと特訓する事にしよう。
 バンギラスを労い、ボールに戻しながらそう決意する。
「結局、あいつらは何だったんだろうな」
「ポケモン、ゲット出来なかったね」
 途中で邪魔が入り、ゲット出来なかった事を皆が残念がる。
「でも、アローラ地方には他にも沢山ポケモンがいますよ!」
「うん、チャンスはまだまだあるよ」
 リーリエとスイレンがそう言うと、サトシも帽子をかぶり直し、元気な声で宣言する。
「だよな! よーし、ピカチュウ! どんどん見つけるぞっ」
 そして、サトシとピカチュウは森の中へ走って行った。

 今日は、新たな出会いにあまり嬉しくない再開で疲れたな。
 アローラにもあんなに強いポケモンが居る事も分かったし、ますます楽しみだ。