かつては「日本三大RPG」の1つとして名高いシリーズだった「テイルズオブ~」。
今となっては既に落ち目…と思っていた。
だがしかし、今作品「テイルズオブアライズ」はシリーズ復活の兆しになる作品だと感じた。
今回はプレイした感想を述べていこうと思う。
ストーリー感想に対しては「微ネタバレ注意」だ。
テイルズオブアライズ 感想
まずはクリア時間だが合計で約70時間だった。
細かく分けると
「第一部~ダナ解放」あたりで約25時間。
「第二部~エンディング」で約50時間。
その後のトロコン達成のやり込みで約70時間だ。
ストーリーに沿ってサブクエストを漏らすことなくやってきたので、かなりボリュームを感じた。
なにより「終わらせたくない」という思いでゆっくりやっていたので、クリアまでの時間は掛かった方だろう。
どんなゲームだった?
まずストーリー全体に言える事だが「王道」で良かった。
昨今のRPGのストーリーは変にひねったり、余計な設定を加えた結果「イマイチ」な出来になる事が多いと感じている。
だからこそ、ここで王道なストーリーを出したきたのは逆に新鮮であり、最後の「ご都合主義」な展開もキチンと受け止められて綺麗に終わったと素直に思えた。
どんなテーマだった?
メインとなっているのは「差別」だろう。
種族間の対立による差別は、歴代のテイルズでも何度か扱った事のあるテーマだ。
しかし、この差別というテーマは今の時代だからこそ響くものがあった。
ここ近年LGBTや人種の差別が顕著に表れているからだ。
同性愛者に対し、アジア人に対し、ネガティブな発言が目立つ今の世の中。
そこで今作の主人公・アルフェンが言ったセリフに強く胸を打つものがあった。
「ダナ人だから、レナ人だから、なんて関係ない」
最初はレナ人を敵として考えていたアルフェンが成長し、
人種なんて関係ない、個人として考えようと言った時、今の時代と重なり、必要な想いだと強く感じたのだ。
最終的に仲間全員が人種の事を考えず「その人自身」として接するようになったのは、とても良かった。
ストーリー感想
今作品は大きく分けて二部構成となっている。
第一部
レナ人に支配され、奴隷となっているダナ人を解放するため主人公・アルフェンが立ち上がり各地を旅をするという内容だ。
ダナ中を巡り、レナ人の代表である5人の領将〈スルド〉を倒すまでが第一部。
そして仲間を集めるパートでもある。
今作の仲間はかなりギスギスしている。
それは最後の仲間であるテュオハリムが加入しても変わらない。
打ち解け合うのは、かなり終盤。
だが、それはカタルシスへの誘いだ。
最初は種族の隔たりもあってギスギスしていたパーティーが、心を許しあって仲を深める。
その前振りに過ぎない。
実際、かなりレナ人を憎んでいたリンウェルがシオンとテュオハリムを仲間と認めた時はかなりの感動を誘った。
第二部
全てのスルドを打ち倒し、残っている問題は種族間の対立だけ…と思いきや
いきなり新手の敵が現れる。
謎の「赤い女」。
唐突に感じるが、最初のスルドであるビエゾの戦いから近くに居たと気付いた時は驚愕した。
そんな驚きの中、ボクの心情を待たず新たなOPが流れてもう感情がグチャグチャにかき回される。
驚愕、驚嘆、感動。
しっとりした絢香氏のカバーソングでどうにか心を落ち着かせたが、その後も怒濤の展開が続いていきもうセーブで中断することなく一気にプレイした。
赤い女の正体、レナ人の真実。
そして、ヒロインを助ける事が「世界を救う事」に繋がると理解した途端「この作品は素晴らしい」と感じた。
ヒロインを助けるor世界を救う
どちらか一方ではなく、どっちも選ぶ。
変に犠牲を出さず王道に解決したのは評価が高い。
それは所謂「ご都合展開」というモノだが
これこそ「テイルズ」だと強く頷いて納得したのだ。
事前情報で「後味のいいエンディング」と聞いていたが、確かにとても良かった。
最後はキチンとアルフェン&シオンが結ばれハッピーエンド。
王道RPGとして高い完成度を誇る作品だろう。
キャラ感想
今回のキャラクターは全員に魅力があった。
主人公はもちろん、ヒロインのシオンも事前情報とかなり違った印象だと感じた。
アルフェン
記憶と痛覚がない奴隷の主人公。
何故、記憶などが無いのか?
その真実を知った時、事前情報で年齢が隠されていたのでまぁある程度予想通りだと思ったが、ストーリーを変に拗れさせないため正解な設定だろうと納得した。
アルフェンは最初こそ、レナ人を倒して戦いを終わらせる。
という思考だったが、そのレナ人・シオンと出会い、テュオハリムと話し、何よりも…ジルファの影響で徐々に人種の事を気にせず「人」の為に戦う事になった。
熱く、優しく、リーダーとして魅力的に活躍し、主人公として王道な成長を遂げたキャラだ。
シオン
触れる者すべてに痛みを与えるヒロイン。
最初こそダナ人を見下しツンケンしていたが、自分と触れ合ってくれるアルフェンのお陰で雰囲気が柔らかくなった。
体験版の時点でリンウェルが推しだったが、もう今となってはシオンが最推しだ。
終盤はアルフェンだけでなく、仲間全員に優しく接する姿を見せてくるのでギャップにやられた。
エンディングはどうやらアルフェンと結婚した模様。
まぁスキットでイチャコラしたり、最終決戦前でアルフェンの告白を「それは終わってから聞かせて」と指で遮った時点で最後はそうなるだろうなと予感していたので、きっちり結婚式まで見せてくれたのはとても良かった。
リンウェル
体験版と本編で1番印象が変わったキャラ。
だって体験版のスキットで和気あいあいとしていた可愛い子が「レナ人なんて~」とか「これだからレナ人は~」などの差別発言を繰り返す子だとは思えなかったから。
出会った時はシオンに強く当たり、テュオハリムが仲間に加入していい顔しなかったり。
もうとにかくパーティーをギスギスさせる要因だったのだ。
そして体験版のPV感想記事で考察した通り、リンウェルは復讐に取り憑かれていた。
簡潔に言うと、自分の一族がレナ人(スルド)に滅ぼされたから。
これがレナ人を憎む原因であったが、ボクは「だからと言ってレナ人すべてを憎むか?」と少し納得いかなかった。
だがまぁ、そんなリンウェルも旅の中で考えが変わって「人種」に対する偏見をなくした。
最後はテュオハリムを仲間と認め、シオンと抱き合ってくれたので「良かったな…」という感想が溢れた。
ロウ
パーティーの清涼剤。
アルフェン、シオン、リンウェルのパーティーはアルフェンがぼやく程にギスギスしていた。
だが、ロウが加入した事により少し風通しが良くなったのだ。
父親のジルファを殺され復讐に駆られた自分とリンウェルを重ね、誰よりも気に懸けていた。
ロウが居たからこそ、リンウェルは復讐を止める事が出来てかつレナ人に対しての考えを改めた。
このパーティーの雰囲気を良くした立役者と言っても過言では無い。
気持ちいい程に真っ直ぐで素直な好青年だった。
キサラ
釣りバカ。
以上。
というのは冗談。
ロウがパーティーの雰囲気を良くしたというなら、キサラはパーティーを温かくしてくれたといったもの。
印象は最初こそ「お堅い近衛兵」だったが、いざ仲間となってみれば「面倒見のいいお母さん」キャラだったからだ。
そして、なによりも仲間の中で1番「共存」を考えている。
ダナとレナ両方の未来のために戦うという強い意思があり、それはアルフェンがレナ人であるシオンと共に生きる事を改めて決意させたけっかけでもあるだろう。
テュオハリム
体験版をプレイしていたので仲間になることは知っていたが、まさか敵として出てくるとは思わなかった。
といっても今までのスルドと違ってダナ人を奴隷にしていないまともな指導者だったので心底ホッとしたもの。
しかしそれは訳ありな理由で、それを断ち切るべくテュオハリムは仲間に。
なので加入直後こそ「利害の一致」でただ同行していた感が強かった印象がある。
だが終盤でようやくテュオハリム自身の決意が固まり「真の仲間」になった時は、これでやっとパーティー全員が揃ったと強く感じた。
だからこそ、テュオハリムがアルフェン達に「友よ」と呼び掛けた時はとても胸が高鳴る瞬間だった。
高評価なところ
やはりストーリーが1番だ。
同胞の解放を目指して各地を周り、世界を懸けた戦いに挑む。
この王道なストーリーが二部構成で分けられ、サブクエストも含めボリュームたっぷりなシナリオなのは高評価。
次に戦闘。
序盤は苦しい部分があったものの、全員が加入してからは全種類のブーストアタックでダウンを多く狙えるようになったので快適になった。
終盤では敵をダウンさせ一斉攻撃からのストライクで周りを巻き込んで倒せるようになるので、サクサクとストーリーが可能だ。
難易度ノーマルでやっていたが、ラスボスまで過度なレベリングは必要ないくらいだった。
まともにレベル上げしたのはクリア後のダンジョンのみ。
CPシステムに関してもシオンのスキルを解放すれば料理効果中は回復するのでストレスは感じない。
過去作のグレイセスには及ばないが、戦闘システムに不満はなかった。
低評価なところ
これはボク自身のプレイ環境の問題だ。
ゲームハードはPS4でプレイしたので、要所のロードが長くてイラッと来た部分はある。
エンカウント、ファストトラベル、アイテムショップ。
かなりのロードを挟み、それが長いのでストレスでボタン連打が止まらなかった。
そしてファンなどが原因の騒音、本体の発熱がヤバいと感じた。
もし改めてプレイするなら他のハードでやった方がいいと思う。
次に「DLC」の催促だ。
マップ中でも野営で体力を回復させたり出来るので頻繁に野営スポットに訪れるのだが、そのたび催促してくる。
画面右側にはいつも「DLC」の文字がある。
これは正直しつこい、うざい。
ぶっちゃけて言えば、不快。
まぁお得意のバンナム商法なので、仕方ないという諦めの溜め息を溢したが。
まとめ
エンディングの後、なんとも言えない「脱力感、虚無感、寂寥感」を感じた作品は久しぶりだ。
ここまで余韻を引き摺る作品はボクの中でもかなり限られている。
別のゲームを例に出すのは恐縮だが、5年前にプレイした「ペルソナ5」以来だと思う。
テイルズ自体はとても大好きな作品なので、かなり高いシリーズ復活の可能性を感じさせてくれた今作は両手を挙げて喜んだ。
実際、他のプレイヤーの評価も高いようなので次回の期待が高まるというものだ。
また日本三大RPGの1つとして「テイルズオブ」が堂々と名乗れるのを願っている。
以上。