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【サンタクロースを殺した。そしてキスをした。】感想レビュー。賛否両論のあるSFラノベ【ネタバレ】

サンタクロースは小学五年生まで信じてた。
どうも、サトミです。

今回紹介するラノベは、
「サンタクロースを殺した。そしてキスをした。」

タイトルに惹かれて買いました。
そして読了後、タイトルに意味が分かって感嘆の溜め息が出ました。

・切ない恋を疑似体験したい
・ビターなエンディングが好き
・SF(少し不思議)が好き
・泣きたい

下記から感想を書きますが、ストーリーの簡易的なネタバレを含みます。

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サンタクロースを殺した。そしてキスをした。感想



あらすじ

クリスマスを消すため僕は少女の恋人になる

聖夜を間近に控えた12月初旬。先輩にフラれた僕は駅前のイルミネーションを眺め、どうしようもない苛立ちと悲しさに震えていた。クリスマスなんて、なくなってしまえばいいのに……。そんな僕の前に突如現れた、高校生らしい一人の少女。「出来ますよ、クリスマスをなくすこと」彼女の持つノートは『望まない願いのみを叶える』ことが出来るらしい。ノートの力で消すために、クリスマスを好きになる必要がある。だから――「私と、疑似的な恋人になってください」これは僕と少女の奇妙な関係から始まる、恋を終わらせるための物語。

引用元:ガガガ文庫公式サイト

 

この作品の登場人物(メイン)は4人です。
・僕(主人公)
・少女(ヒロイン)
・先輩(元カノ)
・悪友(悪友)

この作品に出てくる登場人物らは、先輩を除いて(理由は後述)ライトノベルらしくない「リアルな人物像」をしています。

特に、4人以外に少しだけ出てくる登場人物である
・メンヘラ女
・自己満足男

上記の2人はリアルに居る、というかサトミ自身も出会った事あるようなキャラクターでした。
読んでいて色々と複雑な思いがこみ上げて来ましたよ。

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ストーリー 序盤 ネタバレ

先輩にフラれて意気消沈の僕(主人公)が、クリスマス間近の街を歩いている所から始まります。
本当なら先輩と一緒にクリスマスを過ごすはずだった僕は、つい独り言を溢します。

「クリスマスなんて、無くなってしまえばいいのに」

ただの独り言。けれど、その言葉に反応がありました。

「出来ますよ。クリスマスを無くす事」

そう言ったのは、女子高生のような姿をした少女。

僕は、その少女をまともに相手しませんでした。
しかし、少女はとある「手帳」を取り出します。

手帳を見た主人公は取り乱しました。
何故なら、その手帳は「先輩の新しい、憎き彼氏を○すための計画」が書いてあるモノだったから。

僕が落とした手帳で、少女は脅迫します。
元カノの先輩にバラされたくなかったら、協力してください。

手帳を取られ、どうしようもない僕は、渋々了承します。

少女の協力して欲しいことは、僕と同じく「クリスマスを消すこと」
そして、その方法は少女の持つ赤いノートの力だと言います。

そのノートは「望まない願いを叶える」という力を持った不思議なノートでした。
少女曰く、夜の街を歩いていたら突然、時が止まったように静かになり、目の前に怪しげな人物が現れた。
この不思議なノートは、怪しげな人物から貰ったものだと。
僕はまったく信じていなかったのですが、目の前で少女が力を使って証明します。

とりあえず信じるという体で話を進めると、
クリスマスを消すというのは、望んでいる事。だからまだ叶わない。
だから、「クリスマスを消したくない」という想いを一瞬でもいいから持つ事。

その為には、少女と擬似的な恋人関係になり、クリスマスを好きにさせる事。
その間、少女は僕の部屋に住み着く事を提案しました。

僕は渋りました。
少女は高校生らしき未成年。そんな少女を居候させるのは誘拐になるから嫌だと言います。

けれど、少女は問題ないと言い、自分の服を捲ります。
その身には、痛々しい傷跡がありました。
少女曰く、親からは酷い扱いを受け、心を許していた姉も自○してしまい、自分を心配する存在は居ないから問題ない、と。

そうして、手帳の事で僕の事を「犯罪者さん」と蔑む少女と、クリスマスを消す為の行動を始めました。

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中盤 ネタバレ

少女と擬似的な恋人となった僕。
公園を散歩したり、カメラに興味がある少女にカメラをプレゼントしたり。
なんとか恋人らしい事をしていく2人。

願いが叶う時、書かれている文字が赤く光ると言う少女。
そして今、ノートに書かれている「クリスマスを無くしたい」という文字が微妙に赤くなっていて、順調を表していました。

けれど、今1歩足りない。
そこで少女は、あることを提案します。
それは「過去の恋愛に決着を付ける事」

まずは、少女からでした。
引っ越した、好きだった幼馴染みに会う為、目的地に来ましたが、一向に会えずじまい。
帰ろうとしますが、前の方から目的の人物が見えました。

その幼馴染みの男は、虐められている少女に、
「必ずいつか迎えにいく」
と言って、亡くなった姉以外に少女が心を許していた存在でした。

けれど、今現在、前から歩いて来る幼馴染みの隣には、見知らぬ女子生徒がいました。
僕と少女を一瞥もせず、通り過ぎる幼馴染み。
後を付けると、幼馴染みと女子高生はキスをしていました。

帰ろうと言う少女。
僕は、偽物だけど彼氏らしく慰めます。

次は、僕の行動です。
つまり、別れた先輩と会いにいく。

新しい彼氏と食事をしている先輩の様子を見る、僕と少女。
しかし、彼氏とのデートが終わった先輩をつけていると、尾行がバレてしまいます。

少女を置いて、先輩の前に出る僕。
先輩はストーカーしていた僕を罵倒などせず、
「明日、食事でも行こうか」
と、僕を誘います。

次の日、約束通り先輩と食事をする僕。
僕は先輩に「今日は何故誘ってくれたのか?」と問います。
すると、

「私達、また付き合おうか」
と、先輩は復縁を提案してきました。

(補足:僕と先輩は夜中の公園で出会い、付き合う事になった。その後、先輩に妹が居た事、その妹は深夜徘徊の事故で亡くなった事を知り、僕の告白の後に「きっと私達は幸せにはなれないけど、それでも?」と言われた過去がある)

しかし条件があるという先輩。
その条件は、

「今、君と一緒に居る少女が危ないんだ。君が私と付き合う事を選ぶなら、このまま食事を続ける。もし少女を選び、今すぐ帰るなら付き合わないし、君と私は二度と会わないだろう」

僕は驚きました。
条件ではなく、先輩が少女の事を知っている事に。

また付き合う。待ち望んでいた言葉でしたが、僕は少女を選びました。
先輩は、笑って送り出しました。

少女が居る、自分の部屋へと走る僕。
しかし、近づくにつれ異変を感じ取ります。
扉の前に、警官が居ました。

警官曰く、ここに未成年の少女が出入りするのを見たと。
僕が少女を誘拐したのでは、と疑っていました。

少女が隠れている事を祈り、警官を部屋にあげる僕。
そして、少女の痕跡が無い事を確認した警官は去りました。

ホッとした僕は、もう出てきて良い。と言います。
けれど、返事はありません。

家中を隈無く探し、焦る僕。
最後にベランダを確認すると、一枚の紙切れが落ちていました。

「私の事を忘れて、犯罪者さんが幸せに暮らせますように」

ノートの力が発現する条件は、望んでいないこと。
紙に書かれている言葉は、徐々に赤くなり…

僕は、少女の事を忘れました。

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終盤 ネタバレ

少女と出会う前の状態に戻った僕。
けれど、ふとした時に、何故か悲しくなることがありました。

何か失ったと感じる僕。

いつも通りの、ただの12月25日を過ごしている僕。
街を眺めていると突然、僕の耳に聞き慣れた曲が入ってきます。
それは、「あわてんぼうのサンタクロース」
少女がいつも「さびしんぼうのサンタクロース」と替え歌で口ずさんでいた曲でした。

そして僕は、
ノートの力で忘れる前から、記憶を失っていた事を思い出します。
__

僕と少女の出会いは、中学生の頃。
写真部の先輩と後輩でした。
少女は、たまたま僕がタバコを吸っている場面を見つけて「犯罪者さん」と呼びます。
この頃から少女は、僕の事をそう呼んでいたんです。

とある廃墟を溜まり場とし、
僕は少女と話したり、勉強をしたりと過ごしていました。

そして、少女の事が好きだと気付いた僕は告白をし、恋人同士になりました。

けれど、付き合う前と変わりなく、廃墟で話したりしていました。
勉強をしている少女は言いました、
「犯罪者さんと一緒の高校に行く」

親の影響であまり勉強が出来なかった少女を応援する僕。
しかし、終わりは突然でした。

クリスマスにパーティーをする約束をした僕と少女でしたが、少女から電話がありました。
泣きながら「助けて」と溢す少女。
僕は急いで少女の家に向かい、その途中の公園のベンチに少女が座っているのが見えました。

駆けつけると、少女の頬は腫れていました。
親に志望校を知られ、激昂されたのです。
少女曰く、自分よりいい高校に行くのが許せなかったんだろうと。

僕は怒り、親の元に行こうとしますが少女は止めます。
行っても何も変わらないと、少女は諦めていました。

変わらない現状に、少女は言いました。
「私を誘拐してくれませんか?」

僕は頷き、少女を連れて当てもなく歩きます。

もうすぐ朝になりそうな、雪が降る深夜の時間。
僕と少女は街を歩いていました。

「責任をとって、ずっと誘拐してくださいね」
「任せて、僕は犯罪者さんだから」

そんな2人。
けれど、前触れもなく、速度オーバーのトラックが走ってきました。

避ける間もなく、轢かれる僕と少女。
足も潰れ、意識も絶えそうな時、少女は何かに気付きました。
それは、赤いノート。

(補足:少女の家庭環境は最悪で、唯一の味方である姉が居た。クリスマスにプレゼントを貰えない事を可哀想に思った姉は少女にノートをプレゼントした。そのノートは、少女の欲しいモノを書くと手に入ると言い、ぬいぐるみなど、欲しいモノを実際に書いた少女の願いは叶っていた(姉が頑張って用意していた)けれど、ある日少女は「幸せな家族が欲しい」と書いたが叶わなかった。少女は姉に怒った。姉は「今日からそのノートは望まない事を叶えるノートになった」と言いました。その後、姉が自ら命を絶ったという。少女曰く、姉は当時中学生で周りのイジメに耐え、妹のために頑張っていたのに、その妹にワガママを言われ、限界だったんだろうと。)

轢かれた少女は、腕を懸命に動かして、ノートに書きました。

「私達が出会ってなかった事になりますように」

瞬間、降っていた雪が逆再生のように戻って行くのを、僕は見ていました。
___

この記憶を思い出した僕。
いつの間にか、隣には少女が居ました。

赤いノートの力で少女の事を忘れた筈なのに、なぜ思い出せたのか?
少女曰く、ノートにはタイムリミットがある。その期限は今日、クリスマスの日。
もうすぐノートの効果が切れそうだから、書いてあった事も消えるだろうと。

全てを思い出した2人は、自分達の存在はクリスマスが終わる、夜明けまで。

この時、僕は赤いノートを少女に渡した人物の正体に気付きました。
そう、先輩でした。先輩はサンタクロースで、少女の姉。それが先輩の正体でした。

先輩が僕と付き合っていたのは、記憶を失った2人をまた出会わせるため。
だから、僕が先輩に告白した時「私達は幸せになれない」と言ったんです。

正体に気付きながらも、少女に言わなかった僕。
僕は、残された時間を「あの廃墟」で過ごそうと提案し、2人で向かいました。

タクシーで向かっている中、僕は夢を見ていました。
先輩と話す夢。その中で、先輩は赤いノートを燃やして欲しいと言います。

「もしかしたら、何か変わるかもしれないし、そうでなくてもケジメとして燃やして欲しい。そう、サンタクロースを殺すんだ」

了承した僕は、夢から覚めます。
廃墟についた2人は、世界で二人きりのクリスマスパーティーの準備をしました。
そして、並んで座り、ノートに火を付けます。

僕と少女は、ノートの力で記憶が消えた事からの出来事を話しました。
「最初は君にいっぱい蹴られた」
「うぅ、ごめんなさい。でもその頃は私も必死だったんです」

「犯罪者さん」
「何かな?」
「来世でも、私の犯罪者さんになってくれますか?」
「もちろん」

そんな事を話しながら、燃えていくノートを見つめ、目をつむりました。
__

ぼんやりと、僕の意識が戻ります。
場面は、トラックに轢かれる前。
僕は何故か、涙を流していました。

涙が止まらない僕を見て、少女は狼狽え、溜め息を吐きました。
「しょうがないですね」

少女が、僕にキスをしました。
その時間は僅か3秒ほど。僕にとって、とてもながい3秒でした。

そのすぐあと、目の前にトラックが異常なスピードで通り過ぎました。

あと数秒早かったら、轢かれてた。
通り過ぎたトラックをみつめ、僕はナニかを感じていました。
けれどすぐに何でもない、と少女に言い歩き出します。
__

僕が、つむっていた目を開けました。
目の前には、燃えているノート。

僕はここで、消えたくないと言います。
少女は言いました。

「じゃあこうしましょう。ノートが消えた後の事です。ノートの効果は無くなり、あるべき時に戻ります。あの夜です。そのままだとトラックに轢かれて死んでしまいますが、違う事が起こります。例えば、ほんの少し、3秒ほどの時間、私達が立ち止まる事が起きるとか」

「立ち止まる?どんな事?」
「さぁ?」

そうして話していると、時間が来ます。
「ごめんなさい、犯罪者さん。私のほうが早いみたいです」

少女の体が光り、だんだんと消えて行きます。
「犯罪者さん」
「どうしたの?」
「大好きです。さようなら」

少女の姿が消えました。
そして、そのすぐ後に、僕も消えていきました。

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全体的な感想

この作品を読んだ人で、
・最後が悲しすぎる
・報われてない

など言う人も居ますが、僕と少女は幸せになっていると信じています。

理由は、ノートを燃やした後にあった描写です。
そのまま読めば、3秒ほどのキスで立ち止まったのは都合のいい夢ですが、

ノートの力で消えた後に、あの時間に戻った。だから主人公は突然涙を流した。

希望を感じるエンディングで良かったと思っています。
まぁ、「読者の想像に任せます」な感じですね。
なのでサトミは、僕と少女は幸せに暮らしている。に一票!

キャラクターとしては、ストーリーのネタバレに出してませんが「悪友」というキャラが居ます。
彼に関しては、あまりよく分かりませんでしたが、彼の過去を聞くと、ありふれた人間でありながら彼もまた特別な人間だったのかな?と思います。

そして、結局は先輩に関してハッキリと明言されませんでした。
自ら命を絶った後に、サンタクロースになった。そして記憶を失った僕の前に現れた。
こういう時系列で良いんでしょうか?

他に出てきたキャラクターとしては、

・メンヘラ女
(僕が過去に出会った女性。僕といい仲だったが、寂しさを埋めるために誰彼構わず体を差し出していると知った僕は拒絶。後に、街で偶然知らない男と一緒に居るのを発見)
彼女に関しては、リアルすぎるメンヘラ像で辟易しました。作者さん天晴れですわ。

・自己満足男
(先輩の事などで意気消沈していた僕を心配して声を掛けてきた同じ大学の男。何か困った事があれば相談しろよ。人間誰しも悩みを抱えてる。など、一見すると良い奴だが言葉の節々から「自分が満足するために手を差し伸べている」事が分かる。居るよね、こういう人)

とにかく、登場人物全てが濃かったです。

まとめ

タイトルに惹かれて買ったライトノベルです。
よくある「物語の内容をただセリフにしただけ」のラノベと違って、納得できた作品タイトルです。

この作品を書いた作者「犬君 雀」さん。
ファンになりましたので、もし新作が出るならば読ませていただきます。

そして、サトミ自身も1人の物書きとして
「こんな文章を書きたい」と思いました。

以上、サトミでした!

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