転生先はポケモン 24話

    さらば、また会う日まデオキシス

    ウルトラビーストの世界から帰ってきて一週間ほど経った。

 それも色々あった一週間だ。まず、ルザミーネさんについて。

 ルザミーネさんは、療養に付き添ってスクールを休んでいたリーリエによると元気になってきていると聞いた。

 久しぶりに見たリーリエの笑顔を見てホッとしている。

 それで暫くは何も無いと思っていたのだが、驚愕の事件が起きた。

 ククイ博士とバーネット博士の結婚だ。

 いや、まぁ。いずれそうなると思っていたけど、急な話だったもので俺とサトシは大変驚いた。

 次の日にスクールで報告した時、女子達も予想してたみたいだけどスイレンは『意外と早かった』と言って驚きは少なかった。

 マオとリーリエの『次は・・・・・・』という呟きに何故か寒気を感じたのは内緒だ。

 しかし、結婚式はしないらしいと伝えるとガッカリしていたな。

 そこで、俺達はサプライズで結婚式を準備しようと企画した。

 オーキド校長やマオのお父さん、他にも知り合いに声を掛けて人を集めた。

 準備は滞りなく進み、結婚式はいよいよ明日。

 だけど、少し気掛かりな事がある。

 ソルガレオとこすもの事。

 あの後、日輪の祭壇から帰る直前に背負っていたリュックから重みが消えたのを感じた。

 同時にサトシがソルガレオが居ないと叫んでいたな。

 こすもは、ソルガレオと一緒に帰ったのだろうか?

 ・・・・・・挨拶くらい、したかったんだけど。

***

「__では、指輪の交換を」

 結婚式当日。

立会人であるオーキド校長の合図で、緊張に固まったサトシが小さい箱に入っている指輪を持ってくる。

 新郎新婦は指輪を取り出し、お互いの手を取ると、

「これからもよろしくね、ククイ君」

「あぁ。こちらこそ」

 指輪が填められて、俺達の拍手や祝す声が飛び交った。

 ちなみに誓いのキスは、間に入ってきたゴンベとククイ博士が行った。なんでやねん。

***

 式も終わり、会場の片付けをしていると参加していたルザミーネさんに呼び出された。

 まぁ、結婚式に参加していていいのか疑問な人物も居たがな。

「ほんっとーに、申し訳ありませんでした!」

 そう言い、皆の前で頭を下げる男。

「ザオボーは、ビッケの部下として一からやり直す事にしたの」

 ルザミーネさんの言葉で更に頭を深く下げたが、本当に反省しているのだろうか?

 皆の反応を見ると、許しているみたいだが・・・・・・。

「リーリエ嬢ちゃんやグラジオ坊ちゃんにした事を考えれば、寛大な処置。感謝しかありませんっ」

「顔を上げてください、ザオボー。今回の事でわたくし達は色々な事を経験し、成長したと思っています。なので、もう気にしていませんよ」

「リーリエ・・・・・・」

 サトシ達も頷いて同意している。皆の気持ちに絆されたのか、ザオボーはもう土下座の勢いだ。

「暖かい言葉っ、感謝の極みですぅ」

 地面に頭を擦り付けようとするザオボーを止めたルザミーネさんは、改まった様子で前に出てくる。

「ユウキ君、皆。あなた達にお願いがあるの」

「お願い?」

 首を傾げて聞くと、

「今度ウルトラビーストがやってきたら是非、私達に協力してほしいの。あなた達は、ウツロイドを相手に戦った貴重な存在だもの」

 ウツロイド、と聞いた事無い言葉に疑問を抱いていると、ビッケさんがルザミーネさんの隣に並び、

「ウルトラビーストに名前を付ける事にしたんです。その方がなにかと便利ですから」

 答えてくれたビッケさんは、ザオボーに目を向けて指示をする。

「ザオボー、例のモノを見せて」

「はい、ここに!」

 俊敏な動きでタブレットを操作したザオボーは、ウツロイドや変なスーツが映った画面を見せてきた。

『ウルトラガーディアンズ?』

「ええ。皆にはこのウルトラガーディアンズのメンバーとして、ウルトラビーストが現れた時、彼らを捕獲する手伝いをしてほしいの」

 画面に映っているウルトラガーディアンズ専用スーツという、ちょっと着たくないモノに顔を引きつらせていると、カキがルザミーネさんに怪訝な目を向けた。

「捕獲とは、どういう事ですか?」

「アローラ地方はウルトラホールが開きやすくなっているから、今まで目撃されたウルトラビーストの中には、偶然迷い込んできたものも多いのではないかと私たちは考えているの」

「もし迷い込んできたら、また彼らの世界に帰す。皆さんには、そのためのお手伝いをしていただきたいのです」

 ルザミーネさんとビッケさんはそう言うが、ウルトラホールガバガバすぎん? アローラ地方ヤバくない?

「俺達、協力しますっ。なっ?」

『もちろん!』

 真っ先に声を上げたサトシに続いて皆も賛同するが、一人だけ顔を俯かせていた。

「リーリエ?」

 ルザミーネさんが心配そうな声で呼び掛ける。

 やはり、ウルトラビーストには関わりたくないのだろうか?

「お母様は今回、大変な目に遭いました。けれど、それでも前向きに進む所・・・・・・大好きです! だから、協力しますっ」

 決意に満ちたリーリエに思わず皆が顔を綻ばせた。

「あ、あれ!」

 突然、空に向かって指さしたマーマネの視線を追うと、

「ソルガレオッ」

 空を駆ける伝説のウルトラビーストに、

「あっ、ソルガレオの背中にこすもが乗ってるよっ」

 マオの言葉に驚いた俺は、よく目を凝らしてソルガレオを見る。

「・・・・・・。短い間だったが、元気でな」

 周りに聞こえないくらいにポツリと呟くと、遠くに居るこすもと目が合った気がした。

 ソルガレオがサヨナラだと言うように、雄叫びを響き渡らせると、背を向けて走りだす。

「また、会えるかな?」

 姿を消したソルガレオ達に、サトシが寂しそうな様子を見せた。

 ・・・・・・やっぱり、別れってのは慣れないよな。

「会えるよ。きっとまた会える。絶対な」

 慰めるのは兄貴の役目。サトシの肩に手を置くと、

「あぁっ」

 元気よく、溌剌と。だけど、涙が出そうな。

 そんな笑顔だった。

***

 ここはアローラ地方の何処か。誰も居ない森の深く。

 __空間が裂けた。

 そこから現れたのは、未知の生命体。

 新たな物語が、動き出す。

 To Be Continued