転生先はポケモン 4話

歓迎会でサプライズルズキン 前編

ポケモンスクールに入った翌日、俺とサトシは疾走していた。
「うわーっ、遅刻遅刻!」
「サトシが中々起きなかったせいだろう!」
 俺達は、登校初日から遅刻の危機に晒されていた。
「こういう時のマサラスペックは便利だよなぁ」
 スクールの正門に到着し、自分たちの身体能力に感心していると、小さな破裂音が突如響いた。
「うわっ、なんだ?」
 サトシが突然の事に驚いていると、ぞろぞろとクラスメート達が此方に歩いてくる。
「ふふっ、アローラサプラーイズ!」
 嬉しそうにそう言うマオを始め、皆の手にはクラッカーが握られていた。
「サプライズって、いったいこれは?」
 驚いて尻もちをついた、サトシを引き起こすカキに疑問をぶつける。
「今日は、入学したお前らの歓迎会をしようとな」
「はいっ、ちなみに今のは最初のサプライズです。まだまだありますよ!」
 そう言うリーリエ。いやまぁ嬉しいんだけど、言っちゃったらサプライズじゃなくない?
「二番目のサプライズはマーマネからです。こっちについて来て下さい」
 スイレンはそう言うと、皆と一緒に歩き出す。
 俺は彼女の隣に並び、軽い雑談をする。
「そういや、スイレン。俺達は同じクラスになったんだし、そんな固い喋り方だとこっちは多少身構えちゃうから、もう少し気楽にしてくれると嬉しいんだが」
 そう言うと、スイレンは少し黙考し、此方に微笑みながら口を開く。
「もしかして口説いてるんですか?」
「違う」
 何故そんな事になるか俺は分からないぞ。
「ふふっ、冗談ですよ。まだ会って少しだから、単に慣れなくて。でも……改めて宜しくね、ユウキ」
 急に目の前に立ち、花が咲くような笑顔に見惚れていると、数歩先から声を掛けられた。
「ホイ着いた。二番目のサプライズは、僕とトゲデマルからの挑戦状だよ」
 そう言う、身長低めなふっくらとした少年マーマネ。
 同じクラスの彼から意気揚々に指を指され、サトシは輝いた目で尋ねる。
「もしかしてバトルか!? ポケモンバトルなのか!?」
 そんなサトシを横目に、目の前の積まれた風船を見る。
「バトルっても、この風船を割るとかそういうやつなんじゃないのか?」
 俺がそう答えると、マオが口を尖らせて注意してくる。
「もうっ、ネタバレ禁止だよ!」
「マーお察しの通り、僕とユウキとサトシで、先に風船を全部割ったチームが勝ちゲーム! だよ」
「割る? 風船を……それなら簡単だぜっ」
 サトシはバトルじゃないと知るとガッカリしていたが、面白そうだと思ったのか、早速ピカチュウと位置に走っていく。
「ほら、チームなんだからユウキもポケモンを」
 マオに言われて、腰のモンスターボールに手を掛ける。 
「やろうか、バクフーン」
「バクファ!」
 投げたボールからは相棒のバクフーンが出てくる。

 定位置に立った俺達三人を見て、マオはルールを説明する。
「風船の山を早く割った人が勝ちで、割るのはトレーナーでもポケモンの技でも問題ないよ」
 なるほど、楽勝だな。
 ルールを確認した俺達を見ると、マオは片手を振り上げて、合図を送る。
「それじゃ、はじめ!」
 開始の瞬間に、バクフーンに指示を出す。
「バクフーン、れんごくだ!」
 すると、バクフーンの背中が燃え上がり、放たれた技で目の前の風船の山が激しい炎に包まれる。
「やはり、凄い炎だ。まるでアーカラの火山の様に」
 後ろでカキ達が驚き、目を見開いていると、炎に包まれた風船が軽快な破裂音を出し、どんどん割れていく。
 音が止まり、炎が静まる。
「お疲れさま」
 バクフーンを労い、頭を撫でて言葉を掛ける。
「うわぁ、十秒足らずでユウキの圧勝だね」
 マオが圧倒的な結果に苦笑いで褒める。
「よっしゃあ! 俺達も負けてられないぜ、ピカチュウ!」
 気合の入った声で、サトシはピカチュウに技を指示する。
「ピカチュウ、十万ボルトだ!」
「ピカ、ピーカッチュ!」
 繰り出された電撃は、空高く打ち上げられて、風船に迫る。
「そうはさせないよ、トゲデマル!」
 ピカチュウの技を見たマーマネは、ニヤリと怪しい笑顔を浮かべて、トゲデマルをジャンプさせる。
 すると、風船に迫っていた電撃は急に曲がって、トゲデマルに直撃した。
「いまだ、ビリビリチクチク!」
 電撃を纏ったトゲデマルは、風船の山に体を回転させながら突っ込んでいく。
「なるほど、ひらいしんの特性か」
 感心した俺の言葉に、マーマネは笑顔で頷き答える。
「そう、さらにトゲデマルは受けた電撃をそのまま技として放てるんだ」
 攻撃手段を奪われたサトシは、驚愕で動きが止まっていた。
「はい、そこまで! 風船割り勝負の結果はユウキが一位です!」
 結局ピカチュウは、電気技ではなく、アイアンテールで全て割った。
「まぁ、サトシ。今回はとくせいの相性が悪かったな」
「悔しいけど、次は負けないぜ! なっ、ピカチュウ」
「ピカピ!」
 次の勝負に燃えるサトシとピカチュウ。
 
「じゃあ、三番目のサプライズだね。私について来て」
 そう言うスイレンについて行き、次の場所に向かう。